違いくっきり「エアー」と「クロスター」
従来型の2代目フリードは、初代のスタイリングをキャリーオーバーした正常進化ともいえるエクステリアだった。だが3代目となる新型ではデザインを一新。よりシンプルかつクリーンに仕上げられている。
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とはいえ、遠目から見ても「新しいフリードだな」という印象は受ける。それは従来型とほとんど変わらないサイズ感、短めのボンネットからフロントウインドウを経てルーフ、テールゲートまでのシルエットが、従来型と大きく変わらないことにもよるだろう。横長のヘッドランプとグリルによる顔つきも、従来型と似た雰囲気も携えている。
また、従来型ではワゴンタイプ(2列5人乗り)のフリード+も設定されていたが、新型ではフェードアウト。代わりに、従来型で途中から設定された「クロスター」を充実させ、基本モデルの「エアー」との差別化を強めた2本立てのラインナップとしている。
ホンダミニバンの兄貴分であるステップワゴンの同名グレードと似た、上質で洗練された印象を与え、誰にでもどこにでも合いそうなのが「エアー」。最近、軽スーパーハイトワゴンなどでトレンドとなりつつある、SUVテイストを加えて力強い印象を与える「クロスター」。どちらを選ぶかは、個人の使い方や好きずきだが、いずれも人気を集めそうだ。
新型フリードのサイズは、全長×全幅×全高=4310×1695(クロスターは樹脂製ホイールアーチプロテクター装着で1720mm)×1755mm。全長はパワートレーンにe:HEVを搭載した関係で45mm伸びたが、他のサイズは2740mmのホイールベースを含めてほぼ変わらないのも、好感が持てるポイントだ。
よりユーザーに寄り添うインテリア
インテリアでは、水平基調にインパネが広がり、中央部の上にモニター、下にシフトノブやエアコンなどの操作系が並ぶというレイアウトは変わらない。
だがインパネ上部に配され、ステアリングホイールの上から見るタイプだったメーターパネルは、一般的なインホイールタイプとなった。しかも必要な情報をシンプルに表示するため、運転に集中しやすくなっている。そのうえインパネ上面がスッキリとしたことで視界が広がり、車両感覚がつかみやすい。
中央部の操作パネルも右にシフトノブ、左にエアコン系と操作系を分かりやすくゾーニングしている。
前述のようにサイズはほとんど変わっていないが、室内寸法では1列目のシート形状を変更するなどで室内長は30mm拡大。3列目シートはショルダースペースが65mm拡大している。
またヘッドレストやシート肩口のボリュームを減らし、2列目、3列目とも前方視界が良く、圧迫感を抑制している。
エアーでは3列6人乗りと3列7人乗りを設定。2列目は、6人乗りはキャプテンシートで7人乗りはセンターアームレストが備わるベンチシート。3列目も肉厚クッションの採用でしっかり座れる。
3列目の収納は従来型と同じ左右に跳ね上げるタイプだが、操作はシンプルで力は不要だから、シーンに合わせてのシートアレンジは楽だ。
クロスターは3列6人乗りと2列5人乗りを設定。とくに5人乗りは従来型のフリード+のようにRV的に使うユーザーを想定しており、付属のユーティリティサイドパネルやユーティリティナットを活用すれば、テールゲートを開けた空間をアウトドアで楽しめるのも便利そうだ。
新採用のe:HEV 走りはどう変わるか?
パワートレインに関しては正式に発表されていないが、従来型フリードが先代のフィットやヴェゼルと共通だったように、新型フリードも現行型のフィットやヴェゼルと基本的に変わらないと思われる。
つまり、エンジン車は1.5Lの直4、ハイブリッド車はこれにモーターを組み合わせた「e:HEV」の2本立て。ただし、従来型と同様にシートアレンジなどの関係でセンタータンクレイアウトは採用していない。
駆動方式は、エアーは6人乗りにのみ4WDの設定があり、クロスターは6人/5人乗りの両方にFFと4WDが用意される。また、福祉車両はクロスターにスロープ車とリフトアップシート車が設定され、エアーには設定されない。これは、ステップワゴンとの棲み分けのためだという。
さて、フリードの属するコンパクトミニバン市場といえば、最大のライバルであり先に全面改良を受けたトヨタ・シエンタの存在も気になるところ。それでも、ホンダではシエンタを決して強くライバル視はしていない。
そのワケを新型フリードの開発責任者である安積 悟氏にも確認したところ、フリードは3列がデフォルトの「6(または7)マイナス2」であるのに対し、シエンタは2列がデフォルトの「5プラス2」であるからだという。それは3列目シートの作りや収納法(シエンタは床下収納)からも見てとれる。
それでも、車両価格はシエンタの195万円~310万8000円という価格帯を意識した値付けになることは間違いないだろう。まずは、「早く乗ってみたい!」というのが率直な感想だ。
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